歯科医院様が地域医療の担い手として、多くの患者さんの健全な生活を守り維持していくためには、それに見合う医療体制を構築するために歯科医院経営を成長させていく必要があります。

「医療法人制度」は、永続して安定した医療の提供と組織的な医療経営を実現する一つの手段とわたしたちは考えます。

医療法人について

医療法人とは、医療法によって定められた法人格で、都道府県知事の認可を受けて設立される法人です。
一般の株式会社が設立登記によって任意に創業できるのに対して、都道府県知事の認可を受けなければ設立が認められない特別な法人といえます。

歯科医院の医療法人化は、個人クリニックでは実現できない医療提供体制の構築はもちろん、経営状況によっては、法人税と所得税の税率など、それぞれの税法規定の違いにより税負担が軽減する効果も十分に期待できます。

例えば、売上8,000万円の歯科医院を法人化すると、20年間で7,000万円の節税効果が見込めます。

また、事業承継の面でもメリットがあります。
円滑な事業承継が可能になるのはもちろん、タイミングによっては相続税の負担額の軽減も見込めます。

医療法人化するメリット

MERIT

税率差額による税負担の軽減

個人クリニックの場合、生活に必要な所得以上の稼ぎにも課税されてしまいますので、医療法人化し、個人に必要な分だけを役員報酬として支払い課税を分散させることで、税負担の軽減につながります。

個人クリニックとして経営する場合と、医療法人化する場合とを比較して、医院の経営の利益に対して、おおよそ25%の税率差が出てきます。

  • 個人クリニック:最高税率 55%(所得税+住民税)
  • 医療法人:実効税率 約30%(法人税等)

個人所得金額が高い場合には、多額の節税が可能となり、可処分所得の増加が図られることになります。

役員報酬の活用(分散と給与所得控除)

所得税法では、経営主体は院長個人であり、生計を一にする家族に支払う給与などは必要経費に算入されないこととなっています。

一方で、医療法人の場合は、経営主体は法人であるため、雇用関係が成立すれば家族など親族関係を問わず給与費は損金として取り扱われます。

※個人クリニックの場合でも「青色申告書」の特例制度はありますが、青色専従者の要件として様々な規制と制限があります。

役員退職金・慶弔金の支給可能

個人クリニックの場合、院⾧や専従者が退職した場合に支給される退職金は所得税法上、必要経費に算入が認められません。

しかし医療法人の場合、一定の基準により支給された適正額の役員退職金は法人税法上、全額損金に算入が可能であるため、所得税の計算上で退職所得控除が受けられ極めて有利といえます。
また、死亡により退職する場合は、退職金とは別に、直近の報酬月額の6カ月(業務外)を限度として弔慰金を支給することも可能です。(全額損金算入可)

生命保険の損金算入可能

個人クリニックの場合、生命保険契約の保険料は必要経費に算入することが出来ず、一般・医療介護・個人年金の3区分合計で最大12万円の生命保険料控除が認められるに留まります。

一方で、契約者が医療法人かつ受取人も医療法人とした場合、一定の要件のもとで期間経過に応じた金額の損金算入が可能となります。

事業継承、相続対策

個人クリニックの場合、所得税課税後の財産がすべて相続税の対象になります。子供の開業にあたり、新規建築費用や機械の購入費用、リニューアル費用を用立ててあげる
場合、一括で渡してしまうと贈与になるため、通常は貸付金にするか自分の名義で
購入し、引退時に譲渡や貸付する形をとります。

しかし、この方法だと相続の発生時にいずれにしても貸付金や貸し付けている財産に相続税がかかります。
法人化してあれば相続財産は基金に限定され、医療法人に留保された財産はそのま
ま子供のために活用することができます。

スタッフ採用面での優位性

新卒の歯科衛生士さんを採用したい場合、医療法人は優位な傾向にあります。
理由としては、学校の進路指導の先生が「医療法人であること」「先輩歯科衛生士さんが在籍していること」の2つを柱としてアドバイスする傾向があるためです。

当たり前ではありますが、先輩歯科衛生士さんが在籍している歯科医院の方が教育システムが確立しているように思われますし、また医療法人という組織であれば、福利厚生面でも充実しているのでは、と就職活動中の歯科衛生士さんからも選ばれやすくなります。
厚生年金の加入が必須という点も、アピールポイントになります。

消費税の免税

基準期間となる2年前の自費収入(課税売上)が、1,000万円を超えている場合、または特定の期間・条件を満たす場合には、消費税を納める義務が発生します。

しかし、医療法人化すると、法人として個別に納税義務の判定を行うことになるため、再度免税事業者になることが可能です。

社会保険診療報酬の源泉徴収なし

個人クリニックでは、社会保険診療報酬支払基金からの振り込みの際に源泉徴収が引かれていましたが、医療法人ではそれが無いため、資金繰りが良くなると考えられます。

分院設立、介護事業展開

医療法人化することで、分院の設立や介護事業、自前の訪問介護ステーションを持つことが可能となります。

会計と経営の分離による経営の近代化

個人事業であると個人名義で通帳を作るため、事業に関する取引が混在して通帳が“ごちゃごちゃ”としてしまう傾向があります。

個人事業ですと「この通帳にあるお金は、プライベートで使ってよいお金なのか?それとも事業用として確保しておくべきなのか?」と曖昧になりがちですが、医療法人化することでお金の流れが分かりやすくなります。

対外的な評価としても、混在させればさせるほど税務調査でも指摘される可能性が高くなりますし、対銀行の評価としても、経営と家庭をきちんと分けられている方が好印象となります。

医療法人化するデメリット

DEMERIT

残余財産の帰属

解散時の残余財産は、国・地方公共団体・その他の医療法人に帰属します。

しかし、毎年の利益コントロールと退職金で対応可能です。

剰余金の配当禁止

利益の配当は禁止されています。

収益事業の禁止

診療所の経営と付帯業務(限定列挙)以外の業務を行えません。

しかし、行いたい場合は一般会社を設立して対応可能です。

社会保険の強制加入

スタッフの人数に関わらず社会保険に加入しなければなりません。

しかし、採用面では社保加入は有利に働き個人クリニックより医療法人への就職希望者は年々増加しています。

事業報告書の閲覧

県庁へ決算届等を提出する必要があります。(誰でも閲覧可能)

しかし、詳細な内容が記載されているわけではなく要約記載のみです。

定期的な登記

毎年決算後に法務局への資産総額変更登記および2年に1回の役員変更届出登記が必要です。(重任は可能)

事業税の免税点なし

個人で適用のある事業税の免税額290万の適用が医療法人ではありません。

しかし、社会保険診療報酬の利益は医療法人も免税です。

利益剰余金が約1.6億円超による交際費の損金不算入

利益剰余金が約1.6億円を超えると大法人とみなされ、交際費の損金不算入があります。

しかし、利益コントロール、MS法人設立で対応可能です。

自由にお金が引き出せない

個人事業の場合は引出しが自由に行えますが、医療法人化すると役員報酬でしか法人の通帳から個人にお金を移動することができません。 しかし、しっかりと個人支出の金額を把握し、役員報酬設定をすることで対応可能です。

法人成シミュレーションや医療法人の活用については、是非ご相談ください。

設立認可スケジュール

FLOW

医療法人設立認可スケジュール

設立申請手続き

STEP

  • 所在都道府県によるスケジュールの確認
  • 説明会出席/説明会資料等入手

※都道府県によって取り扱いが異なります。

STEP
1
  • 設立総会の開催

STEP
2
  • 設立認可申請書に必要な書類の準備
STEP
3
  • 設立認可申請書の作成
STEP
4
  • 設立認可申請書の提出
  • 設立認可申請書の補正
STEP
5
  • 医療審査会の諮問・答申
STEP
6
  • 設立認可書の受取
STEP
7
  • 設立登記手続き
  • 登記完了届けの提出
STEP
8
  • 基礎拠出型医療法人の場合には、基金の拠出
STEP
9
  • 開設届の作成と提出。開設許可書の受取
  • 管轄厚生局への保険医療機関指定申請の作成と提出
STEP
10
  • 各種施設基準届書の提出
    (歯科医院の先生により、作成いただきます。)
STEP
11

MS法人について

MS法人(メディカル・サービス法人)とは、医療関係のサービスを展開する法人のことで、法令上医療機関でなけれ出来ない業務以外も事業として担うことが可能な法人です。医療法人では適用できない補助金の活用なども見込めます。

しかしながら、闇雲に設立しても有効な利用とはなりえず、目的をはっきりさせたうえで、MS法人を設立することが重要と私たちは考えます。

例えば、「税差率や制度を有効活用できる手段はあるか」「所得を移転する経済的合理性はあるか」「有効な税制や制度の活用ができるか」などの視点です。

上記はあくまで概略にすぎません。
MS法人をより目的に合った形で活用するためには、経験・知識に基づく判断力、医業に関する法令、税務知識を兼ね揃えたプロにご相談いただくのが近道です。

ご相談は、実績豊富なグロースリンクグループへ

一般的に、医療法人・MS法人設立の手続きは非常に煩雑と言われておりますが、グロースリンクグループでは多くの設立ご支援の実績がございます。

メリットだけではなく、医療法人化・MS法人化のデメリットもお伝えしたうえで、歯科医院様それぞれに合った方法をご提案させていただきます。

個人クリニックを経営されている方で、「医療法人・MS法人を設立したい」「医療法人・MS法人設立について興味がある」等ございましたら、お気軽にご相談ください。

料金

PRICE

新規開業コンサルティング

医療法人・MS法人設立費用

  • 医療法人設立費用:99万円~(税込)
  • MS法人設立費用:77万円~(税込)